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フィグ・アジェスト(c00731)のブログ。キミはワタシを知ってるかい?
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無花果の夜。




「やく、そく。」

繰り返して、ぽかんと口を開けてしまう。
仰いだ表情が少しばかり硬く見えるのは、
まだ、僅かな恐れがあるからだろうか。
そうでもなければ、この男はきっと「なれ」と、
いったのではないかと、娘は想う。

最近は、随分減ったけれど。
添うようになってから、時折、そんな気配を感じた。
…きっと、自分も持っているのだろうけれど。

今年は、と考える程重ねた事が嬉しくて、
浮ついた頭で、ピアスホールを開けてくれとでも
強請ろうかと考えていた。
それが、全てを差し出されてしまった。

直ぐに瞼裏に描けた情景は、笑みで口の中に閉じ込めて。
代わりにささやかな問いを上げる。

「家族って、キミと?」

イマサラ、とでも言いたげな男が頷く。
それでも言葉を重ねられない理由は、
この胸で脈打つものと同じだと好い。

「それから、レーヌと、監視台と、
 キミのかわいい”子”たちみんなと?」

近しいにやにや笑いに、鏡写しの白。
友と呼んでいた青色に、元気に駆ける小さいの。
それから、それから。

直ぐに挙がるのは、ずっとずっと見ていたから。
庇護する者と、慕う者と。
同じ血を宿さない者たちの、星色のぬくい関係を見ていた。

「えぇ、えぇ、いとしいひと。
 なりましょう。家族に。
 共に生きて、混ぜた血で育み、同じ地に還ろう。」

あいしてる。
呼吸と共に溢せば、頬を濡れた感触が伝う。

うれしい時に涙が出ると、
教えてくれたのは、このひと。

「ロット……!」

思い切り胸に飛び込めば、
とっくに慣れた香りが全身を包む。



嗚呼、ワタシはとうとう
ヒトとして愛せるようになったのでしょう。
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プロフィール
HN:
フィグ
年齢:
34
性別:
女性
誕生日:
1990/10/17
自己紹介:
 この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する『エンドブレイカー!』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
 イラストの使用権は作品を発注したPLに、著作権は『山田2』絵師に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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