フィグ・アジェスト(c00731)のブログ。キミはワタシを知ってるかい?
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まだ少し早いからと執務室の外、扉の脇に座り込む。
中に入れば良いものを何故と、言われるかも知れないけれど、
今夜はきっと、準備したものにそわそわしてしまうから。
まだ少し早いからと執務室の外、扉の脇に座り込む。
中に入れば良いものを何故と、言われるかも知れないけれど、
今夜はきっと、準備したものにそわそわしてしまうから。
ぼぅ、としていると、いつの間にか、考え事をしている。
昔はこんなにものを考えただろうかと、また考える。
考える。
いまを。
エルフヘイムで過ごした時は短くないけれど、
この都市のすべては、この屋敷のことすらぜんぶは知らない。
知らない事ばかり。
今まで、は。
「知らない」で、終わりだった。
戦神海峡へは、再び訪れることがあるのかどうか、わからない。
けれど、この永遠の森には、また。
アクエリオのあと、直ぐに戻るかも知れない。
とおいさきに、戻るかも知れない。
分からない、けれど。
きっと戻る。
だって主が此処へ、帰るから。
今まで、は。
「今日」で、終わりだった。
秋に実りを得れば、冬に向けて備えはするけれど、
それはそういうものであって、「明日」では、なかった。
「今」が、あれば良かった。
そうすれば戦えて、楽しくて、生きていられたから。
「今」があって、「今」があって、「今」を繋げて生きていた。
きっと、自ら向かわなければ、こんなに戦わずに「生きられる」のだろう。
死にかけることも、無いのだろう。
けれど、この身の内に脈打つものを感じて、
いとしいもので瞳を満たして、
そうしていないと分からなかったから。
(分からない。)
(何を?)
今、は。
誓約が、ある。
―果てるとも、果てずとも、永久を。
―永久が無いなら、作ろうか。
「明日」が、あった。
(ワタシは主に、自分の全てを差し出した。)
(だって、未来をくれたのだもの。)
(戻って来いと、死ぬなと、言ってくれたのだもの。)
(嗚呼、ワタシは、)
嬉しかったのに、どうして今までそうと分からなかったのだろう。
ぶわりと滲む視界に慌てて、抱きかかえたコートが濡れないようにと目を拭った。
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プロフィール
HN:
フィグ
年齢:
34
性別:
女性
誕生日:
1990/10/17
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