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今年は妙に、水辺に縁のあること。
夏だからと言わばそれきりに、けれど去年もそうとは思わず。
水底のそらを見て、巡らされた水を越えて、
戦神海峡の名指すそこで大戦さもして。
下層の沼地へ終焉を壊しにも行ったか。
満ちない月を見下ろして、気紛れに振り回されて水路にも落ちた。
暑さに辟易しようと報酬はしかと受け取り。
この、長く過ごした斧抱く都市の最後に、七花の湖に。
眠るのは、好きで。
狂乱に等しく、怠惰も愛している。
ただそれは、血の沸き立つより手に入りやすいから、
一番にとは希う機会は少なくて。
行ってみたい場所だったから、暫く行けなくなりそうだから、
それと話をよくよく聞いて。
ふと気付けば、寝てくれと思う顔が浮かんでいた。
冗談めかして水を向ければ、思わず色よい返事。
なにをしようか。いつも楽しい計画の時間はとても短くて、
その分楽しさも凝縮されていたのかも知れない。
寝起きにはさっぱりするものが良い。
甘いオレンジに鮮やかなグレープフルーツを合わせ、夏色をカラフェに用意して。
起きたらの楽しみを抱え、裸足で波打ち際を辿るように歩く。
勿論、時折振り返るのは忘れず。
目を離していたら、何処かへ行ってしまいそうな子達だから。
細波の具合と花の具合、自分なりに見繕って
さて此処に、と腰を降ろした。
足先で小波が遊ぶ。
幾月か前までは、少しばかり水辺が苦手だったような気がするけれど、
この夏ですっかり慣れてしまった。
これから暮らす事になる都市に、水辺はどれほどあるのだろうか。
僅かに考えかけて、往けば分かる事と放棄した。
もう消えかけている足跡を逆に辿って見れば、宙を舞うカラフェ。
珍しいものを見たような、けれど常と変わらぬ様であるような、
愉快な気分に、笑い声が零れた。
気分が良いのは、そう。きっと応じて貰えたからが一番であるけれど。
ひとの傍で眠る事が、好きで。
一人居だろうと雑魚寝だろうと、寝られる場所であれば支障なかれど、
知った顔の傍の方が、気を抜ける。
言えばどんな顔をされるか知らないが、人恋しい時は好きな子の傍の方が良い。
それだけの理由で、それが、全てで。
カラフェをうずめた手を払い、自分の両隣を軽く叩いた。
おいで。
折角呼ばわったのだから。逃げられないように。
そんな理由を付けて、真ん中を選んだ。
促しながらも、気が逸る。
ゆうるりとした時間を刻みに来た筈だけれど、
どうぞ眠りをと思う相手よりも前に、自分が絡め取られそうだから。
ひやりとした砂が、細波が、心地よい。
ゆるいリズムは眠気を誘う。
直ぐに見えなくなってしまうけれど、微かな祈り込めて、オヤスミと。
誰かと夜を共にする事は、とうに慣れた感覚。
慣れた眠りはもっと甘く、気怠い、其れ。
日の高い内に行儀良く眠るのは、何時以来の事だろう。
裾は捕まえたけれど、もっと手を伸ばせば逃げられるに違いない。
其れがとても、快くて。
眠りをと云うのが、切欠であっても。
揺らいで、揺らいで。
自分が無くなる事は、何時かに決まっている事。
なのに、今は未だ怖いのやも知れず。
揺らいで揺らいで、それでも見失わないでいられるように。
見定めてくれるひとに、見てくれるひとに摑まって、それから意識を解いたから。
これなら幾らも惑えよう。
どれほど時間が経ったのか、意識が浮き上がってきて。
目を閉ざしたままに気配を手繰れば、どうにも寝た風は無く。
申し訳ないような。それ以上に、悔しさが。
されど諦めの悪いは常の習い。
今日日引っ張り出したように、今度は夢の中まで引きずり込めたら良い。
夢見ることは、暴力だもの。