フィグ・アジェスト(c00731)のブログ。キミはワタシを知ってるかい?
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(とある日常。)
(※閲覧注意。余り品は宜しくないです。)
(※閲覧注意。余り品は宜しくないです。)
落ち着かない。
簡単な傭兵仕事を終えて、報酬でたっぷりと飲み食いして、
エルフヘイムでの拠点としている宿に帰って、
さっさと寝てしまおうと、思ったのに。
落ち着かない。
時々、こんな夜が来る。
いつもでなくても良いけれど、
寂しい訳でも無いけれど、
どうにも、人肌が欲しくなる。
欲する理由は分からないけれど、都度応えていたら、
習慣はより深く根ざしてしまった気がする。
暫し目を瞑って、やり過ごせないと判じたら、
諦めて寝台を這い出る。
嗚呼、今日は何処へ行こうか。
日頃馴染んだ服よりも、大人しいものに着替えて。
今宵足を向けたのは、いくつか更に階層を降りた先の店。
一つ通りを違えれば危ういような、歓楽街に並ぶひとつ。
店構えも客も相応だけれど、悪くない。
何より安くて量のあるメニューは大切だ。
けれど今日の目的はそうではないから。
店内を見渡す側に腰かけて、ぼんやりと酒を舐める。
酒の回りきった赤ら顔の手は引っ掻いて退けて。
上下に品定めする視線が止まったのを感じたら、
ゆるい笑みを向ける。
値踏みする目は好ましくないと聞くけれど、
その結果是と判ぜられるならば歓迎だ。
グラス片手に席を移り、今度は此方が品定め。
座っていても、背の高いのが分かる男。
素性はちっとも図れやしないけど、
こんな時間にこんな場所に居るなら、理解しているだろう。
腕を取って擦り寄り、見上げて問えば一人住まいにと言うから。
殺してしまっても問題は無い。
勿論、そんなに脆くない方が嬉しいのだけれど。
太腿に手を這わせれば、音を立てて席を立つ。
慌てなくても逃げやしないのにと、ぼうと見上げていれば
此方のグラスの分までコインを置いたのは儲けだった。
手を引かれるまま店を出れば、
「 ふぁ、ん……」
店の壁に押し付けられて、キスされた。
強引なのも結構なこと。
溺れるように応えれば霞みがかって来るあたまの隅で、
嗚呼この子も飢えてたの、と思う。
判りやすく欲してくれる子はいとしい。
腰を這う手に笑って身を捩り、
裾を潜る手は押し留める。
「此処は寒いでしょう?」
キミの部屋で暖めてとうたえば、気を良くして。
単純だとよくよく言われるけれど、だからこそだろうか。
安い睦言は安心する。
外でも嫌いじゃないけれど、
こんなところで殺してしまったら面倒だから。
そういうのは余裕のある時だけ。
寒いのは、事実であるし。
あの店では何が一番だとか、色っぽいアクアの描かれた泉だとか、
他愛ない話をしながら歩く。
少しなり酒の入ったあたまで、
余韻と期待に熱持った身体で、
何か聞こえたのは錯覚だろうと、思った。
けれど、
まるで、蹄の音のようで。
こんなところで聞く音じゃあないだろうと、気になって。
背後から掛けられる声を置いてきぼりに、
音の聞こえる路地を、目指した。
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プロフィール
HN:
フィグ
年齢:
34
性別:
女性
誕生日:
1990/10/17
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