フィグ・アジェスト(c00731)のブログ。キミはワタシを知ってるかい?
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(明るい内に目覚めたのは、それだけ傷が癒えてきたからか。
それとも――ひとの、気配にか)
あれは、人間だろうか。
マスカレイドの様な気配でもなし、
とはいえこんな場所に一人来るとは。
同業者、か。
(身を起して凭れ掛かるまでは叶うも、立ち上がる気力はなく。
名を呼ばう姿に、岩陰から声を掛ける)
傷だらけの濡れ鼠。血も泥も流れきった訳でもなし、と。
こんな姿じゃあ驚かれても無理はない。
(スカイランナーだと云うその人は、ひとつの手紙を差し出して)
「っは、否、いい。差出人は分かるわ。
そんな封書を使う知り合いは、一人だけよ」
(乱暴に封を剥し、文面に目を通す)
二人は、戻っているのか。
あの子も、マシな処に居るなら良い。
ほんに其々らしいこと。
ほんに…、
(封筒の底にあったものを、かさりと手の内に落とし)
「ふふ…あははっ。
嗚呼、助けは要らんよ。ワタシは這いずってでも戻るからサ。
あれよ、帰るまでが戦さです、ってぇの。
…代わりに返事を頼まれてくれるかい?」
高々数日なのに、ひとと話すの懐かしいこと。
(返事を待たずに水溜りに指先を浸し、届いたその封筒に一言殴り書き)
「これでよし、と。
そうね、宅配代が要るなら帰ってから請求書をおくれよ」
(にやにやと、女は笑う)
「ほら、街中に出るまでに陽が暮れてしまおう。
此処は残念ながらワタシ一人で満員よ、夜からも獣からも護られる保証は無いわ。
お行き。探してくれて、あんがとさん」
(そしてまたひとり)
「命令されちゃあしょうがない。ふん、狂乱が在れば幾らも馳せよう。
言われなくたって戻るけどねぇ。」
(にやにやにやにや笑いながら、獣の様に己が傷を舐める。
泥の味にひと時眉を顰めても、早く治れと傷を舐める)
嗚呼、懐かしい手触り。
可愛い、可愛い。
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プロフィール
HN:
フィグ
年齢:
34
性別:
女性
誕生日:
1990/10/17
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